今日は、坐禅会を午前中で切り上げて、午後から日生劇場でオペラ『魔笛』を鑑賞してきた。上岡敏之さんの指揮・読売日響の演奏ということで、前々から行きたかったのだが、うかうかしているうちに
チケットが売り切れてしまった。半分諦めていたのだが、昨日になってチケットが手に入り、幸運にも中央に近い席で鑑賞することができた。
『魔笛』を全幕鑑賞するのは初めて。というより、オペラ自体、そんなに見ていないなあ。舞台で全幕鑑賞したのは、『
トリスタンとイゾルデ』(大好きな一曲、いつかフラグシュタートを超えるイゾルデを聞きたいというのが私の夢)、『トスカ』、『タンホイザー』くらい。オペラのチケット代はなかなか高いので、おいそれとは行けないのだ。
今回は、歌手が全員日本人。ということで、歌唱はドイツ語だが、せりふは日本語になっていた(元々、「子どもにも楽しめる企画を」というのが元々の意図でもあるらしい)。オペラの字幕翻訳にはいつも感心するが、今回は、せりふに「むちむちのプリンプリン」だの「何も言えねぇ」(水泳の北島選手の有名なせりふですね)だの、俗語や流行表現が多すぎて、どうも自分の感覚では違和感があった。それを、指揮者とオーケストラの緊張感ある演奏が、品よく引き締めた形でまとめてくれていたと思う。
こういう、古典ものでしかも日本とは全く異なる文化圏の題材をどう訳すか、どれだけ現代的で噛み砕いた表現を使うかは、いつも悩ましい問題だと思う。特に今回は、日ごろ原語でオペラに親しんでいるような方ばかりをターゲットにしているわけではなさそうだったから、カジュアルな表現を取り入れたいという主催者側の意図も分かる。でも、自分の感覚ではtoo muchで、ややもすると安っぽい感じがした。まあ、感覚の違いと言えばそうなのだが。
上岡さんは、日ごろドイツの劇場でオペラも多く振っているせいか、手馴れている。抑制を効かせつつドラマティックな表現と、軽妙な表現のバランスが取れており、実に上手いと思った。特に、モーツァルトのような、こっけい味と軽快さを上品にまとめるのが得意みたいだ。さすが「軽み」という言葉がある俳諧の国の指揮者だなあ、なんて変なことを考えてしまった。かと思えば、第2幕のパミーナのアリアから、第18曲・僧侶たちの合唱、第19曲・三重唱にいたるドラマティックな盛り上がりもまた素晴らしかった。
読響の演奏も非常によく、こういう、演奏技術の高いオケでオペラを聴くのは、何と言う贅沢かと思う。
歌手は健闘していた。パミーナの実力が一つ頭抜けていたと思う。
楽しいひと時であった。